TOP > 告知
 告知
  2007年10月17日(水) PM

  近くの総合病院でMRI検査をしたその日のうちに自治医科大学病院の
  「ときぎ子ども医療センター」へ救急車で運ばれた陸玖。

  自治医大に到着。
  初めての自治医大。目の前に伸びた長い廊下。
  陸玖を抱っこした状態で本館の脳神経外科の診察室へ向かった。

  診察室には連絡を受けて待っていてくれていた脳外科医の先生が2人。
  救急車で付き添ってくれた小児科の先生と大学病院側の先生との引き継ぎが
  行われる。

  近くの総合病院でさえ、幸いにも今までほとんどお世話にならずに過ごして
  きたのに、いきなり大学病院ですか!?
  私には敷居が高いというか、大学病院の先生、しかも脳外科医の先生という
  だけで緊張してしまう。

  それよりも何よりも、大学病院でないと治療が困難な陸玖の病気っていったい
  何なのだろう。。。緊張と不安で押し潰されそうだ。

  今日、撮影したMRIの画像を見ながら、診察が始まる。
  先生が陸玖に優しく話しかける。

  目の動きを診たり、手足の動き、バランス感覚など。。。
  朝から検査、検査で陸玖は少し嫌気がさしている様子。
  それに血液検査。今まで予防接種ぐらいしか注射をしたことがない子なので
  一日に何度も注射されることに恐怖と怒りで泣きべそ状態だ。

  さらに、MRIもウチで(自治医大)もう一度、撮りますと言われ私もびっくり。
  また眠剤を使ってすぐにMRIの検査となりました。

  MRIの検査は自治医大に隣接されている子ども医療センター内にあるMRIを
  使って行われました。

  私も初めてのセンターにびっくり。
  子ども医療センターが出来てまだ2年
  ほどなので、綺麗なのはもちろん
  センター内が明るくて可愛らしい作りで
  とても病院とは思えない印象です。
  もちろんMRIの部屋にも、たくさんの
  ぬいぐるみやアンパンマンなどキャラが
  いっぱいです。

  MRIの撮影中、待ち合い室で待って
  いると後から家の車で来たパパが到着
  した。パパと2人、心配しながら撮影の
  終了を待つ。。。

  しばらくしてMRI検査は終了。
  陸玖は眠剤のせいか、眠ったままだ。そのまま陸玖は入院になるからと
  言われて入院する病棟へと運ばれた。

  私たちも後から付いて行く。
  入院する部屋のベットで寝ている陸玖。何だかとっても疲れた感じだ。
  パパと私はホッとする暇もなく入院の手続きに追われる。何もかも初めての
  ことで戸惑ってばかりだ。

  少しして「先生からお話がありますから。。。」と看護師さんに呼ばれ面談室に
  案内された。

  部屋には先ほどの脳外科医の先生が2人、今後お世話になる五味先生と
  宮田先生だ。そして看護師さんが1人。

  パソコンには陸玖の脳のMRI画像が映し出されている。
  先生や看護師さんの表情から緊張感が伝わってくる。
  近所の総合病院から、自宅から1時間半も離れた大学病院へ移されたのだから
  簡単な病気ではないことは分かっている。それにしても何を言われるのか
  怖い。。。

  先生の説明が始まった。

  陸玖くんの病名は「脳幹部腫瘍(悪性神経膠腫:グリオーマ)」です。
  陸玖くんのMRI画像を見ても分かるように脳の真ん中に大きな腫瘍があり
  ます。ここは脳幹と言って、手足を動かす神経や呼吸の神経など体を動かす
  為の神経が通っていて、とっても大事な場所です。
  他の部分(小脳)などにある腫瘍ならば手術をして取り除くことができますが
  脳幹部の場合は神経の集まった場所なので、その部分を取ってしまったら
  生きていけません。仮に一部を取り除くにしても手術中に神経を傷つけてしま
  ったら手足の麻痺が起きたり呼吸障害が起きたり、とても危険です。
  それに腫瘍は全部取らなくては再発してしまい意味がありません。
  脳幹部の場合は全部取り除くことは不可能なので、手術は危険なだけで
  あまり意味がありません。
  それに、陸玖くんの腫瘍は浸潤性といって周りの細胞に浸み込むように広がる
  ので手術で全部摘出することは極めて難しく脳幹部の場合は不可能です。
  よってこれからの治療は放射線治療と化学療法(抗がん剤)になります。

  しかし、陸玖くんの腫瘍は非常に悪性で、最善の治療をしても当院での平均
  生存期間は約1.1年です。
  放射線治療などで、ほとんどの方は一旦は症状が改善し元気に学校生活が
  送れるようになるのですが、必ず再発し再発した場合は正常な脳が障害を
  受けてしまうので再度の放射線治療はできないので治療が難しいのが現状
  です。これまで最長で2年1ヶ月の生存です。
  
  突然の話で戸惑っておられると存じますが、治療を迷ったり躊躇している
  時間はありません。すぐにでも検査を進めて治療に入らなくてはなりません。

  
  先生の話しを聞きながら、胸が苦しくて痛くて吐きそうな気持ちです。
  だれかに胸を鷲掴みされているような苦しさです。
  私たちは何も言葉が出ません。。。
  信じられなくて。。。先生は何を話しているんだろう?
  陸玖の話しをしているなんて信じたくなくて耳を塞ぎたくなる。

  脳腫瘍?癌?
  手術して治らないの?
  あと半年から1年しか生きられない。。。
  信じられない。。。
  陸玖が死んじゃう。。。
  

  頭の中が真っ白になっていたら、パパの声が聞こえて我に返る。

  「陸玖が???」 パパもそう聞くのが精一杯だ。
 
  先生は厳しい顔つきで「はい」と答えた。

  私もパパも涙が溢れて止まらない。
  今後の治療を先生にお願いするのが精一杯だ。

  あまりにも涙が止まらないので先生の話が終わった後も面談室から出ることが
  できない。。。
  看護師さんに声を掛けてもらっても何か声がする。。。ってぐらいにしか
  感じない。。。

  でも陸玖の傍に居なくちゃ!そう思い、やっと面談室を後にして陸玖のベットへ。
  陸玖は、まだ薬が効いていて寝ている。
  ベットで横になっている陸玖の顔を見たら、また涙が溢れてくる。
  パパも私も人目を気にせず泣いてしまっていた。
  大部屋だったので、看護師さんが気を使ってカーテンを閉めてくれた。

  どれくらい経っただろう。
  陸玖は相変わらず寝ている。看護師さんが今後の準備もあるだろうし
  帰られても大丈夫ですよ。と声を掛けてくれた。

  このセンターは、両親の面会は24時間OKだけど大部屋の場合は部屋に
  一緒には泊まれないので帰らなければならない。
  個室の場合は逆に付き添いが1人、一緒に泊まらなければならないルールに
  なっている。

  陸玖もいつ起きるか分からないし、明日の朝に早く来てあげようということで
  思いっきり後ろ髪を引かれながら病院を後にした。

  家に帰る車の中でも陸玖の話しをすると泣いてしまう2人。
  だけど、これからが大変だ。しっかりしなきゃ!と自分に言い聞かせる。
  とにかく放射線治療をして一時的と言われていても元気にならなきゃ。
  そうやって治療を頑張れば、もしかしたら奇跡が起きるかもしれないし。。。

  まずは両方の祖父母に陸玖の病気のことを話さないと。。。
  親の私たちも物凄いショックだったけど、おじいちゃん・おばあちゃんのショックも
  相当な物だろう。。。

  それに、これから私は毎日、陸玖の待つ病院へ通うことになるし、下の子の
  生活のことを考えなきゃ。。。
  頭の中はパニックだ。
  
  それでも少し落ち着いてくると、どうして陸玖がそんな大変な病気になって
  しまったのだろう。。。
  陸玖が何をしたんだ!神様はどうして陸玖にそんな残酷な試練を与えたの
  だろう。。。
  変われるものなら私が変わりたい。。。
  陸玖のことが頭から離れない。目が覚めたかな?
  目が覚めて、知らない病院でママとパパが居なくて泣いているだろうな。。。
  頭が痛いと苦しんでいるのかな・・・心配で不安で、今すぐ病院へ戻りたい
  気持ちになってしまう。


  病院からの帰り、弟くんを預けてあったのでパパ方の実家へ寄った。
  おじいちゃん、おばあちゃんはもちろん、パパのお兄さん家族やお姉さんも
  陸玖のことが心配で私たちの帰りを待っていた。
  救急車で自治医大まで連れて行かれたとあって、ただ事じゃないことは
  感じている。。。

  パパが陸玖の病気を泣きながら説明。余命を宣告されたとこを話すと、
  おばあちゃんが泣き崩れた。
  そして、みんなが「何で?」、「どうして?信じられない。。。」と泣き出した。
  私もパパも、今日あったことを泣きながら話すのが精一杯だ。
  だけど、これからの入院生活と弟くんの生活を相談しなくては。。。
  『強くならなくては。。』と涙を拭い、今後の生活の協力をお願いした。
  


    
 

プロフィール
2008年7月に愛する5歳の息子を脳腫瘍という病気で亡くしたママです。少しでも他の方のお役に立てたら、そして息子の頑張った姿を知って欲しくて。。。
陸玖の病気が発覚する以前に子育てに関するサイト「Happiness☆誕生〜子育て」を運営していました。陸玖が産まれて5歳までのことが綴られています。良かったら覗いてみてくださいね。
闘病日誌
異変
斜視?!
頭が痛い!
近くの総合病院
CTに写らない!?
救急車で・・・
告知
初めての入院
点滴が入らない
おしっこが出ない
放射線治療開始
中心静脈カテーテル挿入
抗がん剤を始める
入院のイラダチ
病棟イベント ハロウィン
遠足に行けない
自分で歩ける!
うれしい外出許可
放射線治療を嫌がる
順調な回復。でも頭痛が・・・
ドナルドがやってきた
外泊&誕生日パーティー
髪の毛が抜ける
病棟での誕生日
ベッドから落ちる
太ったね〜
スキップができる
X'masケーキを予約
病棟のお友達
わがまま
退院前のMRI検査
最後の放射線治療
静脈カテーテルを抜く
1度目の退院
 
自宅治療開始
遅れた七五三
初めての外来
嘔吐下痢症になる
涙の代替治療
保育園&空手 復帰
クリスマス
友人に告白
初めての迷子
新年
自宅で抗がん剤治療
強くなれ!
MRI検査
保育参観
風邪をひく
雪遊び&温泉旅行
蓄膿症になる
雪遊び ボードデビュー
CT検査
初めての電車
卒園式の練習
空手 昇級審査
年長さん
花見だ〜
セカンドオピニオン
播種(転移)が見つかる
夜の救急病院
 
2度目の入院
水頭症を発症
シャント手術
DSができない
強引な退院
 
車椅子の生活
涙の代替治療A
言葉が伝わらない
ディズニーランド
自由にならない体
眠れない夜
奇跡の風
みんなで旅行
 
3度目の入院
個室 付き添い
シャント交換
水頭症の悪化
延命治療の決断
お見舞い
床ずれ防止のエアマット
七夕 短冊への願い
気管挿管
保育園のお友達
けいれん止めの薬
気管切開する?
人工呼吸器を使う
延命治療@
添い寝をする
延命治療A
輸血する?
最後のケア
最後まで頑張ったね
みんなに見送られて・・・
天国の陸玖へ
陸玖のいない生活
クリック募金サイト上の募金
ボタンをクリックするだけで、
無料で募金ができる仕組みです。
みんなで募金の輪を広げましょう!
 
 
Library
脳腫瘍(小児脳腫瘍)
斜視
水頭症
中心静脈カテーテル
小児慢性特定疾患
セカンドオピニオン
放射線治療
お勧めサイト
脳外科医 澤村豊のホームページ
自治医科大学とちぎ子ども医療センター
セカンドオピニオン・ネットワーク公式サイト
NPO法人 脳腫瘍ネットワーク
 
朝日新聞に掲載されました

2011/1/25〜29の5日間
『患者を生きる』とい欄に、「この子らしく」という陸玖の闘病記録の記事を掲載していただきました。
閲覧はこちらから
 
LINK集
 
広げようリボン運動
ゴールドリボン
小児がんに関する啓発活動や、治療研究などへの経済的支援を求める運動をしています。
 
オレンジリボン
オレンジリボン運動で子ども虐待防止の輪を広げましょう。
子ども虐待防止「オレンジリボン運動」
 
細菌性髄膜炎から子ども達を守りたい
ヒブワクチンってご存知ですか?ワクチンで守れる『いのち』はあります!いのちの格差を無くすためにも現在、ヒブワクチンの定期接種化を求める署名活動をしています。
免責事項
こちらで紹介している治療に関して本サイトは、あなたに対して保証できるものではありません。利用者が当ホームページの情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。 本サイトを利用する場合は、自己責任にてお願い致します。
《重要》
ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。
Copyright (C) 2008  脳腫瘍と闘った小さな戦士 All Rights Reserved