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 気管挿管
  2008年6月10日(火)

  陸玖のように寝たきりになってしまうと、自分で痰を出すことができないので
  細いカテーテルを口から気管に入れて吸引してもらわなければならない。

  最初の頃は、気管に異物が入るのだから、その拍子に咳が出て一緒に痰が
  上がってくることもあったけど、だんだんその反応も薄くなっていく。

  今日は、朝から何度も痰を吸引しようと看護師さんが頑張っているけれど
  痰が硬かったり、陸玖がカテーテルを飲み込んで食道に入ってしまったり
  して、なかなか痰が取れない。

  その為、陸玖の呼吸にも力が無くなり弱くなってきている。
  酸素マスクの効果も限界にきている。。。
  そんな陸玖の様子を診て、先生が気管挿管の提案をしてきた。

  気管挿管ってテレビとかでしか見たことないけど、口から管を入れるって
  ことですよね!?
  とうとう、そんな状態になってしまったの???
  私が呆然としていると、先生が気管挿管の利点を説明してくれた。

  管を入れることで、今よりずっと痰が取りやすくなるので、本人も楽だと
  思うこと。また、呼吸もしやすくなるとのこと。
  処置は、今すぐこの部屋でできます。

  先生の話を聞き、このままでは呼吸も大変で苦しくなってしまう。
  私に、気管挿管を拒むことはできません。




  気管挿管をすると決まって、看護師さんや先生が準備を始めます。
  私は部屋の外で、処置が終わるのを待っていました。

  暫くして、気管挿管の処置が終わり、入室を許可してもらい部屋の中へ。。。
 
  ベッドで横になっている陸玖の口から挿管したチューブが出ている。
  そのチューブを歯で噛まないようにバイトブロックを口に入れ、チューブと
  一緒に口に固定するために看護師さんが2人がかりでテープを止めている。

  そして酸素をチューブに繋ぎ、これで呼吸が楽になるはずという。。。

  陸玖の姿を見て立ち尽くす私に看護師さんが、「大丈夫ですか?」と
  声を掛けてくれたが、私は「・・・ダメです・・・・。」と答えるのが精一杯。

  今までもたくさんの困難があった。
  カテーテルの挿入手術、シャント手術、けいれんを起こしたり・・・。
  いろんなことの度に、「大丈夫ですか?」と心配され声を掛けてもらってきて
  今までは、「大丈夫です。」と気を張り詰めて答えてきた。
  だけど、今回は「大丈夫です」と言えませんでした。

  今にも声を出して泣きそう。。。
  処置が全て終わった看護師さんに、「陸玖と2人だけにしてもらえますか?」と
  言って、看護師さんに席を外してもらった途端、タオルで声が漏れるのを
  抑えながら、大泣きしてしまった。

  陸玖、こんなことになってしまって本当にごめん。
  もう、元気な陸玖の姿は本当に見れないの?
  声も聞けないの?
  笑ってくれないの?

  呼吸が楽になり、痰も取りやすくなるとは言っても、口からこんなチューブを
  入れられちゃ、楽もなにもないよね。。。






 

プロフィール
2008年7月に愛する5歳の息子を脳腫瘍という病気で亡くしたママです。少しでも他の方のお役に立てたら、そして息子の頑張った姿を知って欲しくて。。。
陸玖の病気が発覚する以前に子育てに関するサイト「Happiness☆誕生〜子育て」を運営していました。陸玖が産まれて5歳までのことが綴られています。良かったら覗いてみてくださいね。
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NPO法人 脳腫瘍ネットワーク
 
朝日新聞に掲載されました

2011/1/25〜29の5日間
『患者を生きる』とい欄に、「この子らしく」という陸玖の闘病記録の記事を掲載していただきました。
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細菌性髄膜炎から子ども達を守りたい
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