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 言葉が伝わらない
  2008年5月

  陸玖の体調は2回目の入院からグッと悪くなった。

  シャント手術はしたものの、頭痛が全く無くなったという訳ではないし、
  腫瘍が回りの神経を圧迫し始めたようで、手足の動きが悪くなったり力が
  入りにくくなったり。。。言葉も、はっきりしなくてとても聞き取りずらくなって
  しまった。
  
  陸玖は一生懸命 話しているんだけど、何を言っているのかが解りにくい。
  それでも、「おひぎりか、たへたい(おにぎりが食べたい)」とか、
  「アヘリハン ドッフか、たへたい(アメリカンドックが食べたい)」とか、
  陸玖が言いそうなことは解るんだけど、あんなことがあった、こんなこと
  あった、みたいなお話になると、聞き取るのが大変。

  聞き取れないので私が、「もう1回、言って」と言うと、最初のうちは繰り返して
  くれるけど何回かすると、陸玖が「もう、いい・・」と言って、話してくれなくなって
  しまう。。。

  それでは、陸玖の考えていること、どうして欲しいとかが伝わらない。
  できるだけ陸玖の思うようにしてあげたいのに。。。

  陸玖に、「もう、いい・・・」って言わないでとお願いする。
  「ママはちゃんと陸玖の言いたいこと聞くから、諦めないでちゃんと話して・・」
  と陸玖に言いながら、涙が出そうになる。
  
  諦めちゃダメだ。ここで諦めちゃうと、この先もみんな「もう、いい・・・」って
  なっちゃうじゃん。



  話せないなら、大人なら”筆談”という方法もあるけれど、やっと平仮名が
  書けるかどうかの5歳児に筆談は無理だ。
  それではと、50音の平仮名の表を見せて指で字を指すって方法はどうだろ。。。
  50音だってやっと覚えたぐらいの陸玖には字を探すのも大変。
  それよりも、言葉が伝わらないイライラの方が先にきて、それどころでは無い。

  とにかく、陸玖の口元を注意深く見て、何を話しているのか想像するしかない。
  暑いのか寒いのか、お腹が減ったのか、テレビが見たいのか、トイレに
  行きたいのか。。。私の頭の中は、今 陸玖が何がしたいのか、どうしたいのか
  そればかりを考えていました。

  一番困ったのは、2人で車に乗ってお出掛け中。
  1週間に1度の外来診察などは、1時間半のドライブだ。
  そのときも、陸玖はいろいろとお話してくれる。
  けれど、運転中のため私も陸玖の口元を見る訳にはいかない。
  そうすると、陸玖が何を言いたいのか、解らない。。。
  陸玖には申し訳ないが抵当に、相づちをすることも度々――。
  しかし、どうにもごまかしが効かないときは、「着いたらちゃんと聞くから。。。」と
  言って話を換える。

  毎日一緒に居る私だって、陸玖の言葉を聞き取るのは大変なのだから
  お爺ちゃんやお婆ちゃん達には、何を言っているのかさっぱり解らないよう
  でした。
  いつも私が通訳です。


  その頃、保育園の先生も「せっかく退院したのだから、調子がいい時に
  2〜3時間でも保育園に来れるといいですね!」と言ってくれていた。

  陸玖に「少しだけでも保育園に行ってみる?ママも一緒に行くし。。。」と
  聞いてみた。
  でも、陸玖は「まだ、行きたくない。。。」と行っていた。
  1回目の退院の時も最初は、久しぶりに会うお友達が恥ずかしくて、
  「行かない。。。」と言っていたけれど、今回はちょっと感じが違う。

  陸玖は、自分の体や言葉の変化を解っている。
  だから「まだ、行かない。。。」と言っていた。
  ”まだ”という言葉は、「治ってから、もう少し良くなってから」という陸玖の治る
  という希望の気持ちが伝わってきて涙が出てくる。。。

  
  元気になって また、保育園に行きたいね!



GWにお庭でシャボン玉遊び!
でも、言葉と同じでシャボン玉も上手く出来なくなってしまいました。。。







 

プロフィール
2008年7月に愛する5歳の息子を脳腫瘍という病気で亡くしたママです。少しでも他の方のお役に立てたら、そして息子の頑張った姿を知って欲しくて。。。
陸玖の病気が発覚する以前に子育てに関するサイト「Happiness☆誕生〜子育て」を運営していました。陸玖が産まれて5歳までのことが綴られています。良かったら覗いてみてくださいね。
闘病日誌
異変
斜視?!
頭が痛い!
近くの総合病院
CTに写らない!?
救急車で・・・
告知
初めての入院
点滴が入らない
おしっこが出ない
放射線治療開始
中心静脈カテーテル挿入
抗がん剤を始める
入院のイラダチ
病棟イベント ハロウィン
遠足に行けない
自分で歩ける!
うれしい外出許可
放射線治療を嫌がる
順調な回復。でも頭痛が・・・
ドナルドがやってきた
外泊&誕生日パーティー
髪の毛が抜ける
病棟での誕生日
ベッドから落ちる
太ったね〜
スキップができる
X'masケーキを予約
病棟のお友達
わがまま
退院前のMRI検査
最後の放射線治療
静脈カテーテルを抜く
1度目の退院
 
自宅治療開始
遅れた七五三
初めての外来
嘔吐下痢症になる
涙の代替治療
保育園&空手 復帰
クリスマス
友人に告白
初めての迷子
新年
自宅で抗がん剤治療
強くなれ!
MRI検査
保育参観
風邪をひく
雪遊び&温泉旅行
蓄膿症になる
雪遊び ボードデビュー
CT検査
初めての電車
卒園式の練習
空手 昇級審査
年長さん
花見だ〜
セカンドオピニオン
播種(転移)が見つかる
夜の救急病院
 
2度目の入院
水頭症を発症
シャント手術
DSができない
強引な退院
 
車椅子の生活
涙の代替治療A
言葉が伝わらない
ディズニーランド
自由にならない体
眠れない夜
奇跡の風
みんなで旅行
 
3度目の入院
個室 付き添い
シャント交換
水頭症の悪化
延命治療の決断
お見舞い
床ずれ防止のエアマット
七夕 短冊への願い
気管挿管
保育園のお友達
けいれん止めの薬
気管切開する?
人工呼吸器を使う
延命治療@
添い寝をする
延命治療A
輸血する?
最後のケア
最後まで頑張ったね
みんなに見送られて・・・
天国の陸玖へ
陸玖のいない生活
クリック募金サイト上の募金
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Library
脳腫瘍(小児脳腫瘍)
斜視
水頭症
中心静脈カテーテル
小児慢性特定疾患
セカンドオピニオン
放射線治療
お勧めサイト
脳外科医 澤村豊のホームページ
自治医科大学とちぎ子ども医療センター
セカンドオピニオン・ネットワーク公式サイト
NPO法人 脳腫瘍ネットワーク
 
朝日新聞に掲載されました

2011/1/25〜29の5日間
『患者を生きる』とい欄に、「この子らしく」という陸玖の闘病記録の記事を掲載していただきました。
閲覧はこちらから
 
LINK集
 
広げようリボン運動
ゴールドリボン
小児がんに関する啓発活動や、治療研究などへの経済的支援を求める運動をしています。
   
オレンジリボン
オレンジリボン運動で子ども虐待防止の輪を広げましょう。
子ども虐待防止「オレンジリボン運動」
 
細菌性髄膜炎から子ども達を守りたい
ヒブワクチンってご存知ですか?ワクチンで守れる『いのち』はあります!いのちの格差を無くすためにも現在、ヒブワクチンの定期接種化を求める署名活動をしています。
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